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cry for the moon



「誰かが夢にでてくるのってそういう「会いたい」って相手の気持ちが飛んでくるからなんだって。」  
 
 

 


cry for the moon


 



 
 
 
夢から覚めた私のなかで、そんな言葉が降ってきた気がした。
誰の言葉だったかすら覚えてない。
確か、中学生の時に読んだフランス文学の一説だったかもしれない。







疾風のごとくその言葉は駆け巡り、私の身体に深く突き刺さった。
真摯なのか。堕落なのか。夢想の戯言だとすら思う。



だって、出てきたのは君だったから。
もう、そのぬくもりを感じることが出来ないと知っているにもかかわらず夢に疼く。
私を捨てたあの人を、まだ思うなんて、と未練がましいとも思う。
申し訳なさそうに笑ったあの顔ですら鮮明で。
でも、色褪せることのないその記憶を、忘れることなど出来ない。



思い出には出来ない。
まだ、したくない。


この頃、夏が近いにもかかわらず、夜でも冷え込む。
珈琲を淹れながらふと思う。
後悔してるような彼の目が語る。
「別れよう」
切なくに言ったのは、君が正直だったから?
悲しく言ったのは、本当に私を好きだったから?





いっそのこと、夢から覚めなければ良かった、と、
君の気配が無い部屋でひとりで泣いた。




夢のなかでいい。
気まぐれでいいから。
「あいしている」
と嘘をついてほしい。

そうしたら、また深い眠りにつけるのに。




冷たくなった珈琲カップを握りしめながら思った。
カップの水面にゆらりと浮かぶ月を見ながら思った。

こうやって月夜に一人で泣くことが、君にもあるのだろうか。

月を見ながら静かに泣いた。
ただ、そのポツンと浮かぶさまが悲しくて。
怜悧なようではあったが、君もまた一人なのかと問いかけたくて。

また今日もあの夢をみるのだと思いながら。



そして今日もまた祈る。
君が一人で泣いてないように。

私はひとりきりで死んでしまっても構わないから。


この広い広い空の下で。
この暗く切ない月の下で。



叶わない願いだと知りながら。





*******************
cry for the moon 「不可能を願う」

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