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クロノス


「隙アリ!」
柴崎がひょいとパーカーに手を伸ばしたけれども、
刹那そのパーカーはひるがえり、パーカーの主はにやりと笑った。

「バーカ、爪が甘いんだよ。」 
   
 
 
 


クロノス

 
  
 
 


最近、手塚と柴崎の仲が妙に良い。

同期の中でも一番優秀と声の高い手塚と、
同期の中でも一番の美人といえよう柴崎は、

双方ともに異性から大変人気があるわけで。
 
柴崎と同室で手塚と同じ職場の笠原郁は案の定、
その質問を一身に受ける羽目になっていた。 
 
 
 
「ねぇ。笠原、あの二人どうなってんの?」
「おい、笠原。柴崎さんと手塚って最近仲いいよな。」
  
 

だからなんでアタシに聞くのよ!とは心の声。
 

 
「んー、なんかね、オニゴッコしてるらしいよ。」
 
  

何度目になるか、郁も、いい加減同じ言葉を返すのも飽きてきた。
思い返すは一週間前だ。
 
 
 
 
 
 
   
 


食堂で、偶然3人で晩御飯を食べていた。
たまたまついてたテレビが
「鬼ごっこをして勝ったら賞金が出る」という内容で、
そこから話が発展したんだったと思う。

  


「私、鬼ごっこ得意だったのよねー。あれって心理戦だと思わない?」
もちろん言ったのは柴崎だ。
「うわー、子供のくせにえげつねー。俺は逃げる方が得意だったな。鬼は苦手だ。」
「あ、あたしも、アタシもー」

手塚の意見に賛同した郁にたいして、返答のダブルサウンドは

「「だと思った」」

である。
 

「何よ、失礼ー!」

キッと郁が手塚をにらむと

「力まかせにその足で走って逃げそうだもんな。」と笑われた。

さらに
「アンタ、鬼になると焦ってなかなか捕まえられそうにないタイプだし。」
と柴崎の援護射撃に撃沈状態である。
 
 
 
 
 

「でも手塚が「鬼」が苦手なんて意外ね」
と苦笑しつつ郁をなだめながら、柴崎は手塚に話をふった。
 

ちょうどB定食のカツを口に含んだばかりだった手塚は、
そのまま咀嚼しながら目線をなんとなく天井に泳がせ、
その一切れを食べ終わる頃に柴崎に視線を戻した。

「『大人数を追いかけて捕まえる』
ってシステムがどうにも苦手だったんだよなー。
ひとりで空回ってる感がしねぇ?」
 

「「あぁー・・・。アンタらしいわ。」」
とは女性二人の素直な回答である。

「んだよ、ソレ。」
だから言うの嫌だったんだ、
と眉をしかめた手塚はコップの水を飲み干した。

 
そのままなんとなくテレビを見てたら、
柴崎が突拍子も無いことを言い出した。

「そうだ、鬼ごっこしよっか。」
「は?今から?外で!?」

思わずテレビから視線を横に移した郁である。

「違うわよー。そうねー。期間は二週間。
二人がつけてるそのドッグタグを私がゲットできたら私の勝ち。
かけるのは夕食代呑み付き一回で。どう?」
「嫌だ!そんなの私、同室な分、不利じゃん!」
「あ、そうよね。じゃ、手塚と私ってことで。
その分、手塚がまけたらアンタも連帯責任だからね。」

「面白そうだな。」
「え、ちょっ、ヤダ!」
手塚と郁のピッタリかぶった声はまるっきり正反対の回答で、
柴崎はニヤリと笑った。

「交渉成立。明日から二週間ね!」
  
  
 

 
 

それからというもの柴崎は常に手塚を狙ってる。
周囲からみたら、じゃれてるようにしか見えないのも道理なのだが。  
 
 

  
 
 


今日は堂上班は、めずらしく定時にあがれた。
けれども、郁には堂上から宿題が出された。
座学の勉強を真面目にしてなかったのが響いているせいか、
仕事の少ないこの時期の勉強してこい、と問題集を渡されたのだ。

「一人じゃ出来ません!!」

と言いきった郁に、
堂上は、情け無用とその拳を振り下ろした。
 
「まぁ、その問題集ちょっと難しいやつだし」

と横から助け船を出すのはもちろん小牧である。

しかし、その助け舟は
「同僚の不始末は同僚の責任ってことで、手塚が面倒みてあげなよ」
と続いた。
手塚にとっては、完全なとばっちりである。
 

 
 
 

私服に着替えて共用フロアに来た二人は、まさに勉強モードだった。
その問題を手塚に見てもらってるときに郁はふと聞いてみた。


「なんであんなオニゴッコ受けてたつのよ。」
それにしらっと返ってきた答えは
「気配察知の訓練になるかと思って。」だ。

何処まで仕事馬鹿なのよ、コイツ。
という言葉はギリギリのところで飲み込んだ。 

手塚に教えてもらいながら、なんとか問題をすすめていた郁だったが
やっぱりところどころでわからない。

自分で考えても、
もともと底が浅いのだから出てくるものは限られている。
せっかく『師匠』がいるのだから、
教えてもらうほうが早いに決まってる。

そう思って、その師匠を仰いだ。
正確には、仰ごうとしたときに 
 
 

「隙アリ!」 
 
 
というソプラノ声が降って来たのだ。
 
 
見上げると、
さっきまで目の前に座ってたはずの『師匠』の姿はなく、
そのかわり、細くて白い柴崎の手がにょきっと伸びてきていた。 

ちょうど五歩先に、翻ったパーカーの影から
手塚の薄笑いを貼り付けた顔が見えた。 
どうやら柴崎の気配を察知して咄嗟に飛びのいたらしい。

 
「バーカ、爪が甘いんだよ。」
 
 

「んー。おしーい」
ひらひらと柴崎がそのもてあました手を振った。

「バレバレなんだよ、お前。」
と、うんざりしたように手塚は柴崎を見下ろした。

「だいたい、俺がコイツに勉強教えてんのわかっててワザと来ただろ?」
「あらー。敵はいつなんどき訪れるかわからないじゃなーい?」
敵は本能寺にあり。ってね。
と、柴崎は余裕の悪魔の微笑みである。
 
 
 
 
 

そんな一部始終を見ていた郁は 
 
 
「・・・・・あたし部屋に戻って勉強する。」
 

と、くるりとその場をあとにした。
  
 
 
 
 


  
 
 
 
 
 
 

リミットまであと一週間。
 
 
二人の攻防は今日も続く。 
 
 

 
 
 
 
 
  
 
 
 



 

*************** 
  

タクスフォースの二人がドッグタグつけてるかはともかく、とりあえずつけてそうだなぁ、という光輝的発想(笑) 
  

そして手塚と柴崎をガイドライン内でいちゃつかせよう計画。そしたらなんか予期せぬところで三角関係になってるんですけど、え、なんで!?な出来のSS。(笑)
 
 
10月18日アップ
10月22日 訂正 再アップ 


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