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ワルツ


「・・・・・うわぁ。・・・懐かしい!」
掃除をしていて、ふとみつけた。


それは亡き母に買ってもらった木箱のオルゴール。

大事に大事にしていたオルゴール。何度目かの引越しで大事にしすぎてダンボールの奥の方にそっと閉まってしまったのだろう。

15年前。
ショーウィンドウに飾ってあったそれに目を奪われ、駄々をこねた末にようやく買ってもらったものだった。
木箱の側面には薔薇が彫られていて、綺麗に、でも、少しふるぼったくペイントされている。

蓋をあけると王子さまとお姫様が仲良く向き合っている。
王子はお辞儀をして、まるでお姫様にダンスを申し込んでいるようだ。
というか、そうなのだろう。

木箱の薔薇とは反対側の側面にはゼンマイがある。
そっと回してみた。


カチリ、カチリ、と音がしたあと、昔と変わらない3拍子のゆったりとしたテンポの綺麗な曲が流れる。

どこかで聞いたことのある曲だ。


曲にあわせて王子とお姫様はくるくると回る。
陶器で出来たその人形はまるで、それとは思わせない様子で少しぎこちなく、それでも軽やかにまわるのだった。



まるで、恋人みたい。
 
 
 
 
 
そう思った瞬間、ふと笑いがこみあげてきた。


「まるで」ではなく、「そう」なのだろう。
2人は仲良く手をとりあってくるくるとまわるのだ。
その耳に馴染んだ心地良い音楽と共に。
楽しそうに。
それでいて、少しぎこちなく。

 
 
 
 
昔は純粋に綺麗だと思った。
可愛くて、羨ましいと思った。
私もいつかお姫様になるんだと、いかにも子供らしい夢をみていた。


なのに、どうしてだろう。
今は綺麗だと思う反面、なんだか少し寂しい。


駄々をこねて、
欲しいといって、
手をのばして、
あたたかい手に引かれて・・・・。


そういう時期は終わってしまったのだ。 
 
差し伸べられる手にすがる時は過ぎたことを実感する。


あっけなくその時は終わってしまった。
少しの親孝行すらさせてもらえなかった。
それどころか、成人することすら見守ってもらえなかった。
 
 
 


静かなワルツを聴きながら、目を閉じる。




瞼の裏に映るのは、今でもただ一人。









重い瞼を持ち上げて、既に止まってしまったオルゴールを見る。




もう一度、ゼンマイをカチリカチリと回す。

 
 
 
 
 


どうしてだろう。
少し、羨ましい。

 
 
 
 
 

好きな人にダンスを申し込まれるお姫様が。
綺麗で昔とかわらず、くるくるとまわる2人が。





もう一度、その瞼を閉じた。
















waltz

 
 
 
 
 



せめて夢の中でだけ、君とワルツを。







**********************************



求めては止まない日々に 
壊れてく心
  
 
 
 
 


 
 
 
 

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