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期限は守りましょう


「笠原さーん!助けてください!」
館内業務もようやく板についてきた(と思いたい)郁は、館内でのいきなりの呼びかけに思わず手に持っていた本を落としそうになった。

「こら!大河!館内は走らないし、大声あげない!」

と、地声を押さえもせずに注意する郁はいつものことなので、堂上の額に青筋が走った以外は、特に利用者の態度も館員の態度も変わらない。

郁に走って駆け寄ってきた吉川大河はそれどころじゃない、と郁をずるずると喋っても良い吹き抜けの休憩フロアまで引きづっていった。

 
  
「ちょっと、どうしたのよ。」
「どうしたじゃないよ!今日は何月何日??」

「・・・? 8月29日でしょ?」
郁は振り返ってすぐ近くの電光掲示板で日付を確認する。

「つまり?」
大河はどうしても郁に気づかせたいらしい。
「・・・あ!大河の誕生日?」

「なんでだよ」
「なんでよ」
と声が二重にかぶった。
ひとりはもちろん目の前にいる大河で、もう一人は後ろの自販機からひょっこり顔を出した柴崎だ。

「この時期といえばひとつしかないじゃない。」

そういいながら、自販機で買ったであろうコーヒーを一口のんで大河の方に向き直る。


「夏休みの宿題でしょ?」
 
 
  
図星らしく、大河はうんざりと肩を落とした。


「なぁんだー、まだやってないのぉ!?」
あきれた声を出したのはもちろん郁である。

「全然ってわけじゃないよ、あと半分くらい・・・。」
とテキストらしきものを取り出したが、まだゆうに100ページはある。

「まぁ、丸々残ってるよりマシじゃない?」
と一応のフォローは柴崎だ。

「で、私にどうしろっていうわけ?まさか手伝えとかいうわけじゃないわよね?」

「違うよ!たださ、笠原さんに聞こうと思って!」
「そんなの悠馬にきけばいいじゃない。」
「その悠馬が聞いて来いって言ったんだよ。」

大河の話によると、悠馬は既に7月中には宿題を終えていて、今さら焦る必要もなく、毎日塾に追われているのだという。
丸写しも考えたが、肝心の悠馬がそれを許さないのだそうだ。
で、どうして郁に聞いて来いと悠馬が言ったかというと、

「笠原さんも夏休みギリギリで宿題する人っぽいからさ、同じ轍を踏んでる人を参考にするほうがいいよ」

ということらしい。
 
 
 
 
それを聞いて爆笑してるのは柴崎だ。
「あははは!アンタいかにも夏休み最終日に徹夜しそうだもんね!」
ひー、おかしい。と既に引き笑いの域に達している。

「ちょっと!アタシに失礼!柴崎ッ!!

言っとくけどねー、アタシだって7月中に宿題終わるタイプだったんだからね?」

「「「えぇ?!」」」

と声が三重にかぶった。

郁が眉をひそめてにらみ上げる視線には同僚がびっくりした顔で立っていた。
「ちょっと手塚までー!?」

「いや。オマエ呼びに来たら意外な話してたから。
いかにも計画的に出来なさそうなのにな。」

「まぁね。自慢じゃないけど、そういうのは苦手だけどさ。」
うんざりしたように郁は種明かしをした。

「夏休みは部活が毎日あるでしょ?
だから、涼しい朝はグラウンドで練習やって、アッツイ昼は、校内で皆で課題するわけ。
で、また日が傾き始めたらなってきたら練習するわけよ。」

「あぁ、つまり部活の日課ってわけね。」
納得がいった柴崎はつまんなーい、と言ってコーヒーを飲み干し、職場に戻っていった。

「ちぇ、せっかく来たのに参考になんなかったか。」としぶしぶ大河も帰る準備をする。

「読書感想文の書きやすい本教えてあげるからカンベンしてよ」と苦笑しながら大河に適当な本をいくつか教える郁の横から

「俺は31日にまとめてやるタイプだったけどな。」

とポツリ言ったのは手塚だ。

「え!?間にあうの!?」大河は水を得た魚のように目を輝かせ手塚を見上げた。
 

「っていうかさ、休み明けのテストって大抵、課題から出るだろ?。
だから、ぎりぎりでやった方が頭に残るんだよ。
まだ3日もあるんだから、自分でやってみろって。
絶対どうにかなるから。」

と大河の頭を二回ほど叩いて、郁に「堂上教官が、呼んでたぞ」と声をかけて手塚も戻っていった。
 
 
 
 
 
 
 
「意外なヤツが仲間だったわね。」
「でも手塚さんって頭いいんだろ?」
 
 
 
 
 
  
 
「でもアイツは1日で足りるんでしょ。大河には3日もあるから大丈夫じゃない?」


 
と郁がフォローかどうかよくわからない言葉を大河にかけたところで、手塚が吹き抜けの上から声をかける。


「そうそう、笠原!
おまえ、教官に昨日提出の書類まだ出してないだろ!!」

郁が上をむいて一瞬固まる。

「やっば!忘れてた!!じゃあね、大河!」

そう最後の言葉を言い終わらないうちに、部屋から郁は出て行った。 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

まだ、俺の方がマシかな、

と、まともに吉川大河が残りの3日間を勉強にあてたのは、一重に図書隊員のおかげともいえる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*********** 
 
 

オチが見えてすみません。
ふと思いついた夏休みネタです。


ちなみに私は、課題は夏休み入って1週間目にはほとんど終わっていて、夏休み明けのテストで悲惨な運命を辿らないがために夏休み最終日は復習のためにやっぱり勉強していた、という計画性のない人間でした。
人間1ヶ月もあったらやったことさっぱ忘れるっつーの。
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